退職時の証明の確認事項

退職時の証明については、以下のことを確認しておく必要があります。
・「退職の事由」とは、自己都合退職、勧奨退職、解雇、定年退職等労働者が身分を失った事由を示すことである。
また、解雇の場合には当該解雇の理由も「退職の事由」に含まれる。
解雇の理由については具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当することを理由として解雇した場合には、就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならない。
なお、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合には、使用者は労働基準法第22条第2項の規定により、解雇の理由を証明書に記載してはならず、解雇の事実のみを証明書に記載する義務がある。
・使用者が労働者に口頭で告げた解雇事由と退職時の証明書に記載された解雇事由とが異なっていた場合や、労働者と使用者との間で労働者の退職の事由について見解の相違がある際に退職時の証明書に使用者が自らの見解を記載した場合については、退職時の証明は労働者が請求した事項についての事実を記載した証明書を遅滞なく交付することによってはじめて労働基準法第22条第1項の義務を履行したものと認められる。
労働者と使用者との間で退職の事由について見解の相違がある場合には、使用者が自らの見解を証明書に記載し労働者の請求に対し遅滞なく交付すれば、基本的には労働基準法第22条第1項違反とはならないものである。
しかし、それが虚偽であった場合(使用者がいったん労働者に示した事由と異なる場合等)には、前記と同様労働基準法第22条第1項の義務を果たしたことにはならないものと解される。
・「国籍、信条、社会的身分、労働組合運動」は制限的列挙であって例示ではない。
・退職時の証明は、労働基準法第115条により請求権の時効は2年と解されている。
・生命保険会社の外務員に対する取締については、「保険募集の取締に関する法律」(昭和23年法律第171号)により、不適格な外務員に対しては登録を拒否し、又一旦登録した後でも募集上著しく不適当な行為をした者は登録の取消等の処分を行って、一定の適格条件を備えた者だけを登録して外務員の素質の向上を図ることを究極の目的としている。
この目的を達成するため、同法の運用上、財務省銀行局が登録を拒否した者、登録の取消を行った者、その他生命保険会社、契約者等からの通報等によって募集上著しく不適当な者と認められる者について同局がブラックリストを作成して各生命保険会社に配布することは、ブラックリストの作成が次の条件に従って行われる限り、労働基準法第22条第4項には抵触しないとされる。
条件(1)生命保険会社は、保険募集の取締に関する法律第5条各号の一に該当する者についてのみ報告し、労働者の国籍、信条、社会的身分又は労働組合運動に関する事項を報告しないこと。
条件(2)財務省においてブラックリストを作成する場合に、保険募集の取締に関する法律第5条各号の一に該当する者についてのみブラックリストに登載し、労働者の国籍、信条、社会的身分又は労働組合運動に関する理由によって登載しないこと。
なお、リストに登録を拒否する者の名のみを掲げることは弊害を生じ易いと考えられるので、併せて登録を拒否すべき理由を明示するように行う必要があるとされている。
・退職時の証明書は、労働者が次の就職に役立たせる等その用途は労働者に委ねられているが、離職票は公共職業安定所に提出する書類であることから、退職時の証明書に代えることはできない。
・退職時の証明を求めるにあたり、その回数については制限はない。
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